アーバンビレッジ <イギリス>

 イギリスではアーバンビレッジというビジョンが1992年に示され、その開発が行われつつある。都市内の住宅需要への対応と、イギリス国民の田園的な住宅に住みたいという要求を折半したイギリス型集合住宅のような趣旨であるように見えるが、イギリスの社会のなかで、伝統的なコミュニティを維持し、安全性、生活の質、環境に大きな視点を置くものである。それは「都市再生の必然性と、サスティナブルで安全なコミュニティを創出することが最も重要である」と示され、6つの理念が挙げられた。
 「ヒューマンスケールの開発」「高品質なデザイン」「複合開発」「綿密に計画されたインフラ」「ミックスインカムとアフォーダブルハウジング」「効果的なマネージメント」である。
 そのために
 ○平均密度:50〜60戸/ha、120〜150人/ha
 ○街区内の用途混合
 ○多様な所有形態による幅広い世代のコミュニティの創出、
 ○自動車への過度な依存の回避(公共輸送手段への移行)、
 ○サスティナブルな(持続可能な)住環境の創出、
 ○計画プロセスへの公共セクターの関与、
 が計画に望まれている。これらにより、何世紀にも渡って生き延びているイギリスの伝統的なコミュニティの性格をもつことが期待されているわけである。
 イギリス政府は、都市内の住宅需要増に対処するために、アーバンビレッジの原則を取り入れる方針を固め、現在、国と地方自治体レベルの住宅供給方策として議論されている。この原則は魅力的なものとみられているが、課題は事業として成立し得るかどうかで、今後、これが住宅地計画の定型となりえるか、現在のイギリスの見所である。